肝臓科

特徴、得意分野

当科は宇都宮市内に2つある日本肝臓学会教育関連施設の1つであり、栃木県肝疾患に関する専門医療機関に指定されています。当科を受診された肝臓疾患の患者さんは、日本肝臓学会肝臓専門医である科長の今井が初診をさせていただき方針を立てています。各種入院治療が必要な患者さんに対しては、消化器内科及び消化器外科の医師が科長の指導のもと責任を持って担当させていただきます。

科長はハーバード大学外科講師時代にBeth Israel Deaconess Medical Center Transplant Clinicに所属し、肝移植の臨床と研究に携わって参りました。また、日本国内におけるC型肝硬変、B型慢性肝炎へのペグインターフェロンの適応拡大、透析患者さんのC型慢性肝炎に対する治療法のガイドライン作成に携わり、肝臓癌化学療法の米国での国際共同治験で医学専門家を拝命していました。これらの経験をもとに、肝疾患の内科的な診断、治療から外科治療まで、患者さんを中心とした一貫した診療を展開しています。

当科を受診される患者さんで最も多いのが、C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎、肝硬変の患者さんです。周辺開業医の先生方からの御紹介も多く、県内他病院での治療を断られた患者さんも状況が許せば積極的に抗ウイルス療法を施行しています。年々、感染者の平均年齢が上がる中、当科の患者さんも75歳以上の方が多くなっていますが、患者さんに治療意欲がある限り、年齢を問わず治療をさせていただいています。平成26年9月にインターフェロン注射を必要としない飲み薬だけの治療法(当院では発売日から導入しました)が日本でも行える様になって以来、C型肝炎ウイルスの治療法が飛躍的に進歩しました。現時点では12週間、薬をお飲みいただければ、副作用も殆ど無くほぼ95%の確立でウイルスを駆除出来る様になりました。今年の年末には限られた患者さんですが、8週間で駆除出来る新薬の発売も控えています。当科では、主要国際学会であるアジア太平洋肝臓学会、ヨーロッパ肝臓学会、アメリカ肝臓学会の最新の知見、及び各種臨床試験の結果をもとに、近年は毎年数回にわたり書き換えられる日本肝臓学会や厚生労働省のガイドラインの動きを注視、予測し、常に最新の治療法を患者さんに提案させていただいています。高齢者であっても副作用は少なく治療効果も高いという実臨床での成績を、平成27年のアジア太平洋肝臓学会において科長の今井が世界初のデータとして当院から発表いたしました。また、各種講演会やラジオ放送等の啓発活動を通して、ウイルスを持っていながら治療を躊躇されている患者さんへの、治療参加への呼びかけをしています。

B型肝炎は未だ克服出来ない病気の一つです。投薬により血中のウイルスをゼロにする事が出来ても、肝臓内にウイルスあるいはウイルスの遺伝子が残るため、慎重な経過観察が必要となります。患者さんの持たれているウイルス量や肝臓の状態により、治療方法や経過観察の方法が変わってきます。また、極めて確立は低いですが、完全に駆除する可能性のある新薬も出てまいりました。長い経過観察となりますので、患者さんのライフスタイルに合わせた治療等を御提案しています。

肝臓癌の患者さんには肝予備能力、腫瘍の大きさ、個数、存在部位等に応じて、手術、経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、全身化学療法のそれぞれの治療法を患者さんとその御家族によく説明し、何れかの治療法を選択していただいています。肝移植を希望する患者さんには、患者さんと御家族の御希望に従い、県内の2つの大学か都内の大学を紹介しています。肝切除術、RFA、TACEは特殊の場合を除き当院で治療していますが、患者さんの御希望があれば他施設も紹介しています。

診療実績・施行実績

平成26年に当科でC型慢性肝炎、肝硬変の抗ウイルス療法を受けた患者さんの実数は以下の通りです。

  • ペグインターフェロン単剤:5名
    (全例でウイルスは消えましたが、内1名は再燃しました。)
  • ペグインターフェロン+リバビリン:21名
    (17名でウイルスは消えましたが、内4名で再燃しました。1名は全く治療効果を認めませんでした。
    3名は数回の治療後受診をしなくなったか、患者さんの都合で治療を中断しました。)
  • ペグインターフェロン+リバビリン+プロテアーゼインヒビター:13名
    (全例でウイルスは消えました)
  • 経口2剤(インターフェロンを使用しない治療法):8名
    (全例でウイルスは消えました。)

残念ながら再燃した患者さんの半数以上は、患者さんの都合で治療中断期間がある方でした。

その他、肝臓癌(原発性、転移性)、非代償性肝硬変、C型慢性肝炎肝硬変(新しい治療法を待たれている患者さん)、B型慢性肝炎のため抗ウイルス療法を受けられている患者さん、B型肝炎非活動性キャリアのため経過観察中の患者さん、各種急性肝炎、自己免疫性肝炎、NAFLD、NASH、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害等の多数の患者さんを診療しています。

B型肝炎抗ウイルス療法実施数 H26 H27 H28
核酸アナログ 14 27 31
pegIFN(含add on) 3 2 1
C型肝炎抗ウイルス療法実施数 H26 H27 H28
pegIFN 4    
pegIFN+RBV+SMV 10    
DCV+ASV(IFN free) 15 1  
SOF+RBV(IFN free)   22 9
SOF+LDV(IFN free)   18 16
OBV+PPV/r(IFN free)     1
EBR+GZR(IFN free)     1
DCV+ASV+BCV(IFN free)     2
肝臓腫瘍治療実施数 H26 H27 H28
手術 1 3 9
ラジオ波焼灼療法(RFA) 1 2 1
肝動脈化学塞栓療法(TACE)   4 6

認定施設

日本肝臓学会教育関連施設、日本消化器病学会認定施設、外科専門医制度修練指定施設、消化器外科専門医制度指定修練施設(関連施設)、日本がん治療認定医機構認定研修施設、栃木県肝疾患に関する専門医療機関指定

主な医療機器・設備

320列CT、3.0ステラMRI、血管造影室、手術室