脳動静脈奇形
術中にICGだけではなく、IVDSAを行いナイダスと言われる血管塊の裏側まで、血管の構造を確認して安全に摘出術を行っています。
代表症例
脳出血で発症された脳動静脈奇形の症例です。JCS200の意識障害を呈し、緊急で開頭手術を行い、血管奇形を全摘出しています。経過は良好で独歩可能にまで回復しています。
代表症例 30代男性
脳出血で発症した脈絡叢部脳動静脈奇形(arterio-venous malformation:AVM)
脳動静脈奇形(AVM)の患者様です。意識障害、左上下肢麻痺で救急搬送されました。
頭部CT上右側頭葉から頭頂葉にかけて約40mlの脳内出血を認め脳血管造影にて多数の栄養血管(右中大脳動脈、右前脈絡叢動脈、後大脳動脈)が認められ、寺田友昭教授を招聘し、合計3回にわけ、段階式にAVM塞栓術を行いました。
1回目は主に後大脳動脈から流入する栄養血管に対して超選択的経動脈的塞栓術を行いました。
Defrictorという1.3Fr(0.43mm)のとても細いマイクロカテーテルを栄養血管まで誘導し、Onyxという特殊な液体塞栓物質を注入し、血流を減らしAVMへのストレスを減弱させています。
塞栓術の際に穿通枝を同時に塞栓されてしまい、術後右視床に脳梗塞を来しましたが、幸いにも神経障害は軽度でリハビリテーションを行い症状は改善しています。
2回目の塞栓術の際には中大脳動脈から流入する栄養血管に対して治療を行いました。
1回目の治療時は血栓化により描出されなかった動脈瘤(flow related aneurysm)を認め、脳出血の出血源と考えられ、MEPでモニタリングしながら、麻痺が出ていないことを確認しながら、onyxによる経動脈的超選択的動脈瘤塞栓術を行いました。
代表症例 出血発症の脳動静脈奇形 60代女性
他院で経過観察されていた脳動静脈奇形の方です。SMG5に分類される治療のriskの高い大型の脳動静脈奇形でした。出血されJCS200 除脳硬直の状態でしたので緊急でドレナージと外減圧のみ行い、NBCAで出血点と考えられた前脈絡叢動脈から栄養される血管塊のみ塞栓し、後日脳動静脈奇形の治療の専門家である寺田医師にONYXによる閉塞術を行なっていただきました。多数の栄養血管が入り込んでおり、計三回の血管内手術を行なっていただいた後にAVMの摘出術を行なっております。1日がかりの長時間手術になりましたが、全摘出できております。幸い意識も回復され、communicationが取れるまでになり、回復期病院に転院されました。
外頸動脈 前大脳動脈 中大脳動脈 後大脳動脈から多数の栄養血管が入り込んでいます。
摘出前後の写真ですが、血管内治療を行っていただいていたのですが、多数の栄養血管が残存しており、深部まで血管塊が存在する為、長時間の手術になりました。
術後の確認の脳血管撮影で脳動静脈奇形は全摘出されています。CT上新たなダメージは認めませんでした。