脳動脈解離
代表症例 60代 男性
前大脳動脈解離により進行性に脳梗塞の拡大を呈した症例
前大脳動脈解離の患者様です。脳梗塞で発症され右半身麻痺、失語を呈し、内科的治療を行うも脳梗塞巣は拡大し。症状が増悪していきました。CTperfusionでは左前大脳動脈領域に広範に虚血が認められ、さらなる梗塞の拡大が想定されたため、急遽、解離部拡大を抑えるためのtrapping(クリップで病変を挟み込む事)を行い、その先に頭皮下を走行する浅側頭動脈を淡々吻合して前大脳動脈にバイパスしています。バイパスにより前大脳動脈領域の血流を保ち、梗塞を食い止める事が出来ました。rehabiliにより歩行可能となり、自宅退院されています。前大脳動脈の脳梁からの高さが異なるため、STA-ACA bypassを行っています。
- A: 術前CTAにて左全大脳動脈が不整に狭窄しており前大脳動脈解離の所見である(黒矢印)
- B: CTPによる脳血流評価で左前大脳動脈領域に広範に虚血を認める(赤矢印)
- C: 術後CTAで浅側頭動脈と前大脳動脈がバイパスされている(白矢印)
- D: MRI 拡散強調画像で、前大脳動脈領域の梗塞は最小限で抑えられている
代表症例 60代 女性
虚血発症の前大脳動脈解離
脳梗塞で発症した左前大脳動脈の解離の患者さんです。内科的治療を行うも脳梗塞が進行し、左の前頭葉にそれ以上脳梗塞が拡大するのを予防するために、夜間緊急で脳梁の前を並列して走行する前大脳動脈の側側吻合術(A3-A3bypass)を行い、解離している部位をtrappingしています。術後梗塞が拡大することなく、前大脳動脈の描出は改善し、歩行可能になっています。
術後CTA 脳梁の下面で前大脳動脈が側側吻合され(赤矢印:A3-A3 bypass)、対側から末梢に血流が流れるようになり、両側の前大脳動脈が描出されています。